恐怖の実習。知りたくなかった。
恐怖の実習1回目。
…
……
………
その時の感想。
理学療法士ってこんなもの?
正直ガッカリしました。
太腿をさすって話して20分が終わる。
えっ?それだけ?
ひたすらアキレス腱を伸ばすだけ伸ばして20分終わる。
えっ?それだけ?
痙性がある筋にストレッチのみで20分が終わる。
えっ?それだけ?
たまに質問してみる。
「首回りの筋肉をほぐしていましたが、筋繊維に対して垂直に触っていくんですか?」
返ってきた返答に驚く。
「ん?あまり考えてないよ。適当にマッサージしたらほぐれるから。」
…
マジか…。
ウソだろ…。
魔法使いの理学療法士はどこだ…。
いろいろな理学療法士の見学に入る。
中には担当の患者さん全てに決まったメニューだけをする理学療法士もいた。
お尻あげ10回。
キッキング10回。
股関節内外転10回。
…
マジか…。
実習が恐怖というより、理学療法士の世界が恐怖だった…。
知りたくなかった現実。
私が思っていたものとはかけ離れていた。
そんな適当な理学療法をしている人達は仕事よりも飲み会好き。
そんな飲み会では、体育会系のノリで私含め実習生にお酒をどんどん勧めてくる。
正直、ウザかった。
体育会系のノリでバカ騒ぎをすることほど、時間の無駄は無い。
実習では、勉強しにいっているということを理解してほしい。
完璧に冷めきっていた専門学校時代。
もっとちゃんと仕事しませんか?
学生ながらにずっと思っていました。
そんな飲み会の帰り道。
人生で初めての体験をする事に…。
ヤバい…そろそろ…ヤツが来る。
トントン…
足を叩かれる。
トントントン…
肩を叩かれる。
「………ですか?」
声をかけられる。
「大丈夫ですか?」
…
……
………
目の前には、明るい光が…
眩しい…
人影が2人見えた。
…その数時間前…
「カンパーイ!!!!!」
「ようこそ◯◯病院へ!!!!!」
そう。
仕事をろくにせず、飲み会大好きな理学療法士の集まりに強制参加させられた。
実習を無難に終わらせたい西山は、得意の聞き役に徹する。
自分のことは話さない。
全て相手から情報を得る。
だからいつも、相手は話して満足するけど、西山のことはほとんどわからないまま時が過ぎる。
西山が聞き上手なのか…
西山に興味がないのか…
おそらく後者だ。
話す中で質問されることももちろんあったが…
1度質問されるだけでなかなか続かない…
相手が質問下手なのか…
西山に興味がないのか…
おそらく後者だ。
そんな中飲み会が進む。
基本的にお酒は弱い方ではないので、
勧められたらコップをあけてしまう。
注いでもらったから注ぎ返そうとすると…
「あっ、俺には注がなくていいから…」
と軽く流される。
これってルール違反では?
大学の飲みサークルでは、確実にアウトだ。
みんなで飲んでいる一次会や二次会では何の問題ないのが常。
「強いよね〜」
と言われながらも飲み続ける。
無難な男西山は、その日も卒なくこなす。
その帰り道。
終電にギリギリ間に合ったが、終点から一駅分歩かなければいけなくなった。
歩きながら時計をチラッと見てみる…
「ヤバい…そろそろ…ヤツが来る…」
飲み会から解散して30分〜40分後にヤツがいつもやって来る。
目の前には、自動販売機。
ヤツが来る前に、水分を…
チャリン。
ガッコン。
緑茶を飲む西山。
すると…
とうとう、ヤツがやって来てしまった。
一発お腹を強く内側から殴られる…気がした。
オェーーー。
もどす西山。
ちょっとひと休みさせろと言っても容赦ない。
もう一発軽めに殴られる…気がした。
オェーーー。
またもや戻す西山。
そのまま自販機の隣に倒れこんでしまった。
その後、いつももう1人のヤツがあるものを奪いにくる。
何を?
それは…
意識。
これを奪われてしまわないように、必死に戦う。
けれど、お腹を殴られている西山にはそんな力は残っていなかった…
…
……
………
トントン…
足を叩かれる。
トントントン…
肩を叩かれる。
「………ですか?」
声をかけられる。
「大丈夫ですか?」
…
……
………
目の前には、明るい光が…
眩しい…
人影が2人見えた。
「財布とかありますか?」
誰なのか認識する前に、いつもの3点セットを確認する。
携帯…
あった。
財布…
あった。
鍵…
あった。
安心して2人の顔をよくみると…
なんと警察官Σ(・□・;)
その節はご心配おかけしました。
どれもこれも、お酒をとことん勧めてきた実習先の理学療法士達の責任なんです…
と言い訳、責任逃れを心の中でする卑怯な西山。
翌日、気持ち悪くてトイレにこもったりロッカーで30分くらい寝てたのは、誰も知らない…。
これを読むと西山を嫌いになります。
長期実習2回目。
これが最後の実習。
福岡市内でも屈指の厳しい病院。
誰もが実習で行きたくない病院。
そんな所へ私は行かなければいけなかった。
正直、西山も内心ビビってました。
だって…
人間だもの。
そういえば、1回目の実習が終わった後、同級生といろいろと話をする中で衝撃的な発言をしてきた人がいた。
「マジで首吊ろうかとロープまでセットした…」
寒気がした。
たかが実習で、死を考える人がいるなんて…
そう。
たかが実習。
そんな気持ちがあったから、2回目の実習も何事もなくクリアできた。
実習ってなにがきついのでしょうか?
私には残念ながらわかりません。
その経験が一度もないのでわかりません。
そんな苦しんでいる学生もいる中、
私は、毎晩仲間とオンラインゲームをしながら遊んでいた記憶しかありません。
でも、この環境がまた良かった。
ゲームをしながら、Skypeで複数の仲間であーだこーだといろいろと話をする。
実習の愚痴を聞いたり、レポートの修正をしたり。
なかなか楽しかったですね。
それもこれも、一緒に学んできた仲間を助ける為に始めたこと。
そんなブラック西山が実習で使ってきた技を少しだけご紹介。
①レポートは、自分の100%で提出しない。
②レポートの修正箇所は、わかりやすく網目か色付きで提出。
実習中は、どれだけ自分の100%の力を出しても修正されるのは当たり前。
それを大前提に考えないから、
「これだけ頑張ったのに、なんで評価してくれないの?」
とかいう自己満足な学生が出てくる。
学生がどれだけ頑張ろうと、理学療法士よりも知識がないのは当たり前なのだから、必ず修正される。
だから、あえてわかりやすい修正箇所を作っておく。
そして、
修正箇所には網目か色付きで提出する。
もちろん指導者にここを修正してきましたよ!とアピールをする為。
…ではなくて、
他の文章に目を向けにくくさせる為。
読む側に立って考えてみてください。
毎回全てレポートを読むのも大変なんです。
だから、昨日修正して来てと言われた所だけ修正して印をつける。
すると、指導者はそこに注意が向いて、その周辺しか読まなくなる。
学生ながらいい作戦だったと思います!
理不尽な指導者と思われてしまう人の特徴は、
昨日は何も突っ込まなかったことを、今日修正して来いと言う。
昨日は何も言われなかったのに…と嘆く学生。
でもそれは、全部最初から読んでくださいとでも言うように、まっさらな状態で学生がレポートを提出するから。
昨日目につく場所と、今日目につく場所は違くて当たり前。
だから、最初からここだけを見て!
と言わんばかりのレポートを作る。
結局は、実習も人間関係です。
相手が心地よいと思えるものを探して提供し続ける。
この訓練は、今でもかなり役に立ってます。
患者さんが一番心地よいものは何なのかを、考えられることができ、相手が求めるものを与えられることができるようになった。
そんな歪んだ性格の冷酷なブラックな西山。
「優しいだけじゃつまらない」
そう言われて初めて傷心したことがきっかけで、こんなにも歪んだ性格になりました。
そんな西山は、何年間もガラスの仮面を被った日々を過ごしてきました。